カナダで研究留学中~無気力大学生だった自分へのメッセージ~

僕は、水のある風景が好きです。海や川、湖。透明で綺麗なその光景は、見るだけで心が洗われるかのようで、いつまでも飽きずにその流れを眺めていたくなります。 その景色を、将来の子供達にも見せてあげたい。そんな思いから下水処理の研究を選び、現在はカナダの大学に訪問研究員として1年間の研究留学をしながら、日本にまだ普及していない新技術を学んでいます。思考を現実に。死ぬ時に振り返って、納得出来る人生を。

ホタルの飛ぶ川に底が見えそうな程澄んだ湖、どこまでも青い海。その素晴らしい景色を、将来の子供達にも変わらぬまま見せてあげたい。そんな思いから下水処理の研究を選び、現在はカナダで1年間の研究留学をしながら、日本にまだ普及していない新技術を学んでいます。日々の考えを思うまま、無気力学生だった自分へのメッセージとして綴ります。 追記 帰国し、国立研究所で非常勤研究員として働き始めました。薄給に耐えつつ、修行中。

自分のコンパスって何だっけ。

 こんにちは。

こちらは既に夏です。五月半ばくらいから日差しも強く、帽子を被らないと頭痛がしてきます。今日は気温の変化のせいか、変な時間に起きてしまったので、家を出るまでSHOWROOM代表の前田裕二さんが書かれた人生の勝算という本を読んでいました。丁度一年前に出版されたようです。kindleの読み放題で見つけて、すごいタイトルだと思ったのがきっかけです。因みに電子書籍派です。

 

 

人生の勝算 (NewsPicks Book)

人生の勝算 (NewsPicks Book)

 

 

自分のコンパス

この本は、著者が自分の人生を通して得た事、実践してきたことを自身の将来を含めて書いた自伝です。読みやすい文体で、すんなりと頭に入ってきました。書いてあることも共感出来る事が多く、良い本に出合えて嬉しいです。お勧めです。有名な本なので、今更かもですが。

 

著者が述べている事の内で重要なキーワードが「自分のコンパス」というものでした。原体験に紐づく揺るぎない大きな志と言い換えられてあります。

同じアイデアとして、前にlogmiの記事で読んだ、dropbox創始者のドリュー・ヒューストンさんが人生の成功のコツとして卒業生に送るスピーチの中ではテニスボールとして説明してあります。

「人生のコツはたったの3つ」Dropbox創業者ドリュー・ヒューストンの卒業スピーチが感動的 - ログミー

要は自分が心からやりたいと思える事、夢中になれる事、人生をかけて実現したい事は何か、知る事が大切なのだということだと思います。人生にはタイムリミットがある事を実感した上で、では何をするか。

 

僕にとってこの考え方はとても共感するものです。この考えに触れたのは確か3年前のドリューさんのスピーチを知った時ですが、就活を控えていたこともあって、それから常に自分が人生で本当にやりたい事は何なのだろうという疑問が頭の隅にありました。

 

僕が憧れる人、かっこいいと思う人は皆それを持っています。実際、僕が初めて真剣に留学をしようと考え始めたきっかけは、就活を通して留学を漠然と考えて居た時に、現在支援を受けている奨学金制度のトビタテ一期生の方達が夢を語る動画を見た時でした。この人達のようになりたいと胸を熱くさせられたあの瞬間が、もっと正直に言えば、ネガティブであまり言うのは恥ずかしいのですが、自分のコンパスを持てずに停滞している自分と、それを既に持って活動している人たちを比べて劣等感を感じてしまう自分が情けなく、このちっぽけな劣等感を消し去りたい、自分のコンパスを持ちたいと思った瞬間が、確かに僕の人生のターニングポイントの一つだったと思います。

実際、この留学も自分のコンパスを確かめに来たようなものだと思います。未だ探している途中というべきかも知れません。

 

自分にとって大切にしたい軸

僕が仕事を選ぶ上で大切にしたいと思う軸が3つあります。

 

自分の死後も世に確かな形として残り人々の生活を支えるもの。

今では一般的ではありませんが、桐タンスはこんな伝統が有ります。

女の子が生まれた時に両親は桐の木を植え、その子が成人し嫁入りする時にその桐の木を材料に桐たんすを作り、嫁入り道具として持たせます。箪笥が色褪せたり、傷が出来てしまった時には修理をしながら大事に使い、その桐タンスは子から孫へ、孫からひ孫へと引き継いでいくのです。(僕の実家は家業として、日本の伝統工芸品である桐たんすを作っていました。詳しくは以前の記事をどうぞ。)

長い間、想いと共に受け継がれ、人々の生活を支えていく桐タンスのような何かを、この世に残したいという思いがあります。

 

年齢に関わらず生涯をかけて取り組める事。

職人である祖父は高齢にも関わらず、ほとんど毎日朝から晩まで、恐らく祖母が休めと言わなければ毎日働いていました。これからの時代、ある程度先は見えてきたとはいえ、人の寿命は延び、それに伴って定年という概念も変わってきています。年齢に縛られずに働ける仕事を選びたいと思います。

 
自分にも他人にも誇れる仕事である事。

これは大分抽象的で、当たり前、或いは綺麗ごとかもしれません。でも自己否定に繋がる事に熱意を懸けるのは難しいです。

 

これらに合致するものとして、今の自分は排水処理の研究を通して水環境の保全に貢献する事が僕のコンパスなのかなと考えています。

 

研究テーマの話になりますが、僕の研究テーマは好気性グラニュール法という生物学的排水処理技術です。この技術は既に100年近く使用され、世界に普及している現技術の課題を解決するものとして注目、研究が進んでいるものです。

研究によって確立された技術は残り、人の生活を豊かにします。なにより、その成果を通じて水環境の保全に貢献する事で、将来自分の子供に今自分が見ている素晴らしい景色を 見せてあげる事が出来たらかっこいいなと思います。

 

揺れるコンパス

そういった理由で今、日本に無い新技術を学ぶ為にカナダにいるのですが、正直、自分のコンパスは揺れています。

 

僕は目標を見つけ、ここに来ました。幸運にも素晴らしい環境にいます。ここで自分の劣等感を消し去れると思いました。

ですが、自分のコンパスを持っている筈が、未だにFacebookを見ると劣等感を感じてしまいます。自分と同世代の人が何かのイベントを開催したとか、インターンシップに参加したとか、インタビューされて記事になったとか。流石トビタテ生。目が眩みます。

人の活動を見てブレてしまうのは、自分がまだ何も成し遂げていないからか、もしかしてあるいは、自分のコンパスが実は正しくないからじゃないのか、とそう考えてしまいます。

 

 

 今日はこの辺で。