カナダで研究留学中~無気力大学生だった自分へのメッセージ~

僕は、水のある風景が好きです。海や川、湖。透明で綺麗なその光景は、見るだけで心が洗われるかのようで、いつまでも飽きずにその流れを眺めていたくなります。 その景色を、将来の子供達にも見せてあげたい。そんな思いから下水処理の研究を選び、現在はカナダの大学に訪問研究員として1年間の研究留学をしながら、日本にまだ普及していない新技術を学んでいます。思考を現実に。死ぬ時に振り返って、納得出来る人生を。

ホタルの飛ぶ川に底が見えそうな程澄んだ湖、どこまでも青い海。その素晴らしい景色を、将来の子供達にも変わらぬまま見せてあげたい。そんな思いから下水処理の研究を選び、現在はカナダで1年間の研究留学をしながら、日本にまだ普及していない新技術を学んでいます。日々の考えを思うまま、無気力学生だった自分へのメッセージとして綴ります。 追記 帰国し、国立研究所で非常勤研究員として働き始めました。薄給に耐えつつ、修行中。

ゲストスピーカーをする事になった話 I will be a guest speaker to talk about my family business

こんにちは。

日本はゴールデンウィークでしょうか。


僕は今回の留学の為に、トビタテ留学Japan www.tobitate.mext.go.jp
という、奨学金プログラムに支援して頂いています。そのプログラムの受給者の要件の一つに、日本文化発信の大使として活躍する事という文言がありまして、お世話になっているのに何もしない訳に行かないと、今日、カルガリー大学の文学部で日本プログラムを担当されている先生の所に何かやらせてくれと、メールを送り、聞きに行って来ました。

 

それで幾つかお手伝いをさせて頂く事になったのですが、その内の一つとして、大学が行っている日本文化に関するオムニバス形式の講義で、ゲストスピーカーとしてお話しさせて頂く事になりました。と言っても講義自体は来学期なので、まだ詳細未定なのですが。

 

何を話すかについてですが、日本の伝統的な木工技術として、僕の実家の家業であった桐たんすについて、紹介しようと考えています。詳細は下の記事に以前まとめたので、良ければ見てみて下さい。

judaime.seesaa.net

四季のある国の家具 「総加茂桐箪笥 小倉タンス店」 | Revalue Nippon

 

海外に居て、自分のアイデンティティを証明する時、生まれ育った国の文化というのは、自分にとっての一つの大きな軸になります。
僕は以前にマレーシアへと留学した機会があるのですが、そこで面白いと感じた物、心から興奮した物はその国独自の文化でした。
よく雑誌で目にするツインタワーや巨大なショッピングモールよりも、平日に路上で所狭しと並ぶ露店に、海外のブランド品や有名フードチェーン店よりも、現地の服や地元の方が作ったお菓子に心惹かれました。
グローバル化が進む中で人を惹きつけるものは、どこかで見たような焼き増しではなく、そこでしか成しえないローカルな独自性です。

ただその一方で、そういったローカルな伝統技術は安価で容易な製品に市場を奪われています。桐タンスはその内の一つです。
金物を使わずに組み立てる木工技術は、日本独自の海外でも称賛される技術ですが、その時代の人の生活に合わせて革新し続けなければ、後世には残りません。

日本の伝統工芸品が、新たなイノベーションによって復活する成功ストーリーを目にする度に、僕の家業についても、詳細は省きますが、早くに決断して何かしらの行動を起こしていれば、また違った道もあったのではないかと、いつも考えてしまいます。祖父母も両親も好きな事をしなさいと育ててくれたので、その言葉に甘えてきましたが、それでもやはり、桐たんすの家に生まれた自分には、その現状を変える為に、何かをしなければならなかったのではないか、自分にはその役目があったのではないかという気持ちが今でもあります。

今回、ゲストスピーカーとしてお話しさせて頂く機会を得た時、日本の木工技術を広めたいと、勝手な敵討ちの様な気持ちが、自分の中に確かにあるのだと感じました。それをどの様に形にするのかは、まだ答えは出ませんが、日本の外から見る事で、日本の外に発信する事で、桐タンスはどう変わるべきなのか。その答えが見つかればよいと思います。

自分語りになってしまいました。今日はこの辺で。

 

 

 

5月になりました。

こんにちは。

昨日で5月になりました。

4月半ばまでは普通に雪も降っていて、朝晩の冷え込みがきつかったのですが、4月の終わり頃から外の気温も上がり雪も溶け、すっかり春です。

心なしか日本よりも日差しが強い気がします。地元出身のラボメイトはオゾン層が薄いからだと言っていました。春というより夏の始まりのような、そんな感じ。ようやくコートを脱いで外出できます。

日照時間も長いです。家を出る7時ごろには既に明るく、夜の九時ごろになってようやく日が沈みます。一日が長く感じられて、なんだかお得な気分です。

 

昨日、こちらの指導教官とポスドクの方を交えて僕の研究計画について議論をしまして、ゴーサインが貰えましたので、その準備を整えていました。明日か明後日には実験開始です。計画に2か月かかったのは長すぎですが、その分納得の行くテーマを選べたので、後は実験に集中するだけです。

 

今日は別のプロジェクトの為、ラボメイト達にくっついて地元の下水処理場を下見してきました。臭かったです。子供の頃、家の傍を流れているドブを毎日歩いて眺めて、ザリガニとかドジョウを見つける度に家に帰って網を抱えて戻ってきては捕まえていたのですが、その時の臭いを思い出して、臭いのに何だか笑ってしまいました。

一人だけテンションが高くて、何がそんなに嬉しいのかと我ながら呆れましたが、自分の研究分野が好きでたまらないって事なら幸せなのかも。

今日はこの辺で。

www.yuraimemo.com

 

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何故博士になりたいのか。

こんにちは。

今日は4月の最終日でした。日本では新学期ですが、こちらでは学期が終わり、学生も何だか少なく見えます。

 

最近というか、オランダから帰ってからですが、修士課程を終えてからどうするかについて考えていました。どうするかというか、博士課程に行くための武器を身に着けに来たつもりだったのですが、その気持ちがどこから来るのか、分からなかったからです。

というのも、こんな記事を見つけたからです。

neuro-educator.com

 

一概には言えないとはいえ、単純にお金だけ見れば、博士って余程の物好き位しか、行こうとは思わないよなあと。わざわざ休学して私費留学してまで、研究してる自分はまあ、アホだなあと。頭の中でぐるぐると理由を考えていたわけです。

 

何故博士になりたいのか。

正直、特に「博士」が欲しい訳でも「アカデミックの分野に進みたい」という訳でも無いです。お金もあればあるだけ欲しいです。

ただ、大学で学んだのにそれを活かさず別の分野の仕事をする日本の社会にずっと違和感を感じていたというのもあるし、ジェネラリストより、スペシャリストがこれからの世界は必要とされるだろうとか、小賢しい理由も頭の片隅に浮かんでたりします。

あと、身の回りでかっこいいと思った人が大学の教授だったからというのが大きいのかなと思います。両親よりも年齢が高いのに、広い見識と洞察力、行動力でバリバリ働いている先生方のバイタリティに憧れるし、研究テーマを楽しそうに話す姿を見てこんな風に人生を過ごしたいと思ったのが博士課程を考え始めたきっかけだった気がします。

 

何となく色々と書きましたけど、ともあれ、今の自分が夢中で研究のプロポーザルを書いていて、少なくとも自分の性には合っているし、それでいいじゃないかと、なんだか自分は結局何に悩んでたんだか分からないままに、腑に落ちたのでした。

 

今日はこの辺で。

映画を見に行った話

こんにちは。

 日曜の夜に、ラボメイトに誘われて、彼の友人達と映画を見に行きました。Avengers infinity warというタイトルです。アベンジャーズはマレーシアに居た時、ハウスメイトと一緒にアントマンを観に行った位で、全然知らないのですが、アクション映画は好きなので、誘われた時はよし行こうと、二つ返事で決めました。

結局、映画はそれなりに楽しめたのですが、その後の雑談で、気分はとても落ち込みました。帰り道で映画を見た感想をみんなで話していたのですが、全くついていけなかったからです。

 ラボや研究室で一対一で話す分には、何とか会話も成り立つし、話題も自然と研究に関係しているので理解しやすいし、単語も分かります。分からなければ、その都度聞き返して何とかなります。

 ですが、多人数での日常的な雑談となると、全く追いつけません。友達と集まって雑談するという、何気ない日常だけど、多くの人が同時に好き勝手喋る中でそれぞれの会話を聞いて理解するというのは非常に難しい。現状、聞き取ろうとするだけで、それでも追いつけませんが、精一杯です。話しかけて貰っても、何を言っていたのか分からないので、見当違いな返答をしてしまい、それがまた申し訳なくて、黙ってしまう。実際昨日も似た感じでした。

 ようやくラボメイトと会話出来るようになったかなと思って少し調子に乗っていた事もあり、この週末は、頭からガツンとやられました。

 

この記事を書いていて、日本を出る前の送別会でラボメイトがくれた、Do not be shyというアドバイスを思い出しました。

「日本人は恥ずかしがり過ぎると。空気を壊すとか、変な英語を話してはいけないとか、そういうのは考えない。」

その通りだなあと。

 

間違えても、何言ってるんだと言われても、下手でもなんでも、大きな声で、繰り返す。言い換える。黙らない。今はまだ、落ち込むだけ時間の無駄。

厚かましさや図々しさを身に着けようと思います。ファイト。

 

今日はこの辺で。

 

 

 

 

 

ボードゲームカフェに行ってみた。

こんにちは。

毎週の土曜日は、割とゆるい感じで過ごしています。

午前中はいつも、大学の学生ボランティアとIELTSのスピーキング練習に付き合ってもらいますが、午後は流動的に動けるよう基本的に予定を空けています。

今日は昨日見つけた安い賃貸の下見をしてきました。来月末に引っ越ししようと思います。ついでにそこの家主さんから、近所に住んでいるという、日本人の主婦の方を紹介して頂けたので、来週の午後はその方のお子さんが通っているという日本語学校に一緒に参加してみようと思ってます。

 

夜はラボメイトに誘われて、彼の友達と一緒に韓国のフライドチキンレストラン(Wow Chikcken、アジア人向けの味で、KFCより好み。一緒に頼んだCanadianというビールが美味しかった。)で夕食を食べた後、ここ十年くらい前から大人中心に流行っているというボードゲームカフェに行ってきました。そのまんま、漫画喫茶のボードゲームバージョンですね。こちらでは、漫画喫茶はまだ見つけてないです。あまり人気ないのかな?

ボードゲームは割と好きで、カタンとかドミニオンとか日本でも遊んでいたのですが、カフェには壁の棚をびっしりと埋めるようにボードゲームが並べられており、眺めるだけでもわくわくします。日本にもボードゲームカフェはあるようですが、僕は今日が初めてでした。

遊んだものはお邪魔もの。ボードゲーム好きな兄によると日本でも割とポピュラーなようです。ルールは単純で、道を作る役とそれを邪魔する役にランダムに割り振られた後、山札が切れるまでにスタートからゴールに繋げられるかというもの。3回して、2勝1負けでした。

漫画喫茶ではなくボードゲームが流行っているのは、会話によるコミュニケーションの有無なのかなと、遊んでいて感じました。日本では自分の時間を楽しみますが、こちらでは人と話す事に価値を感じているという印象を受けます。バスの乗り降りの時、乗客は運転手にありがとうやおやすみと皆が必ず言うし、スーパーのレジでも、レジ打ちを待ってる間に何気ない会話を店員と客で楽しみます。

移民が多く、その点ではマレーシアと似ていますが、マレーシアと違って、カナダ人は”you are welcome!”と暖かく受け入れる雰囲気があります。

別れるときに、こちらではhave a nice day, have a good nightという常套句があるのですが、たださよならと言うのではなく、相手の幸福を祈って別れる言葉が、僕はたまらなく好きです。なんだか暖かく、しみじみとして、思わず笑顔になっちゃいます。

 

 

カナダでは、人口の25%が移民だそうですが、中には20年以上住んでも英語が喋れない人もよく居ると聞きました。ただ居るだけで、よそ者のまま。馴染もうとしない。思わない。仕事を求めてきただけで、カナダの一員になろうという訳ではないから。日本にずっと住んでても日本語を喋れない人もいますよね。

留学してもその国の言語が上達しない人は、自分はあくまで外様で、いずれ国に帰るもの。そういう深層意識があるんじゃないかなとふと思いました。

 

とりとめがありませんが、今日はこの辺で。

 

 

 

カナダで始めた新生活習慣

こんにちは。随分と更新が遅くなってしまいました。

 カナダにきて、約二か月が経ちました。既に滞在日数の1/6を消費した事になります。怠け者な自分にとって、明確な終わりを意識できる事が留学の良い所だと個人的に思っています。こちらでの生活にも、随分と慣れました。慣れ過ぎて、逆に緊張感が失われている所もあるので、そこは反省です。

 どうにも見栄っ張りなもので、英語と日本語で書いて、しかも人が読んでも為になって、後なんかカッコいい事を書こうと思っていたのですが、このままだと何も書かないまま留学を終えてしまいそうなので、日常生活のちょっとした事でも、とにかく文字に起こす事にしました。毎日寝る前に振り返りを兼ねて、書こうと思います。

 今回はカナダに来てから始めた生活習慣についてです。日本に居た時は健康に気を遣う事など全く無かったのですが、こちらに来てから、環境の変化のせいか、酷い風邪を引いて身動きが取れなくなったり、痔になったり、夜眠れなくなったりという経験をしたので、健康に気を付けようと思い立ち、折角なので色々と試してみる事にしました。

1つ目:朝食にスムージー

カナダでは、シェアハウスが一般的なようで、僕もシェアハウスに住んでいるのですが、(家の見つけ方や家賃の相場など、後で別記事にまとめようと思います。)この春まで住んでいたハウスメイトがやっているのを見て、真似る事にしました。

牛乳とバナナ、適当な冷凍フルーツにhemp(マリファナの仲間らしいですが、健康に良いと評判なのだとか)を混ぜて飲んでいます。手軽に作れて持ち運べるので、朝飯代わりに愛飲しています。日本に帰ったらミキサー買おうと思います。

2つ目:ラジオ体操

寝起きが悪いので、子供の頃を思い出して続けてみる事にしました。ハウスメイトも時々混じって一緒にしてます。

3つ目:ジム通い

カナダでは一般的らしいですが、留学している大学は運動施設が充実していて、プールもジムも種々のスポーツ場も自由に利用できる上、器具のレンタルも格安で出来ます。ですがタダではなく、授業料として自動的に払わされていたので、元を取るためにジム通いを始めました。サークルを辞めてから腕やら腹やら弛んできて悲しかったので、これを機会に体を引き締めようと思います。カナダの人は腕とか胸とかムキムキです。筋肉質な方がモテるというのも理由らしいですが、健康の為の適度な運動を行う事が習慣として広く根付いているように感じます。ラボメイトは皆マッチョです。

 

あと、健康には関係ないですが、毎日知らない人に話しかけるという事を意識しています。英語の練習というのもありますが、人見知りな性格の改善と、積極性を身に着けたいと思い、始めています。カナダの人は優しい人が多い印象です。

 

今日はこの辺で。

Granular Sludge Conference 2018 in Delft

こんにちは。

2018年3月18日~22日にオランダのデルフトで行われたIWA主催の国際会議に参加してきました。プレゼンターではなく、ただの参加者としてですが。

 

主なスポンサーはBiothane of Veolia, PaquesとNereda。

参加者は239名。うち大半は欧米人で他は中国人。

日本人は自分を含めて7名。内訳は企業人が4名(メタウォーター、オルガノ、日立)、学生が2名、教授が1名。

プレゼンターはオーラルが二人、ポスターが一人。その内、好気性グラニュールについて発表したのは一人でした。

この分野を研究している主な国はヨーロッパ、特に スペイン、オランダ、ドイツ、スウェーデン、中国 、日本、シンガポールそしてアメリカ、カナダ。

好気性グラニュールという現象を発見したのは日本人研究者(Mishima,1991)ですが、この研究分野において日本は明らかに遅れており、存在感を示せていないという印象です。

 

 学会の構成は初日にワークショップ、2日目以降にプレゼンとポスターセッション、4日目にテクニカルツアーというものでした。

4日間を通して著名な教授の方々、好気性グラニュール法に関わる企業の方、現地下水処理場の技術者を含む30人以上と連絡先を交換し、面識を持てたのは大きな収穫でした。

一方で、深い議論をするには、そもそも対等な相手として見なして貰えていないとヒシヒシと感じました。

次に参加する時はプレゼンターとして参加して、認めてもらおうと、決意を新たにしたオランダ出張でした。

 Granular Sludge Conference 2018 was held in Delft, Netherland between 18 and 22 March, 2018, which was mainly sponsored by BIOTHANE of VEOLIA, PAQUES and Nereda.
 The number of participants ware 239. Most of them were European, others were Chinese. Japanese participants were 7 including me: four of them are business men (METAWATER, ORGANO and Hitachi), two students (Soka Uni and Uni of Tsukuba) and one professor (Hokkaido Uni). Three of them were presenter. Two oral presentation and one poster presentation. Each of them talked about anammox, anaerobic digestion and aerobic granular sludge system.
 The phenomenon of Aerobic granule was discovered by Japanese researcher first (Mishima, 1991), however, Japanese are clearly much behind of them in this research field now.
 Up to date, whole Europe, especially Spain, Holland, Germany, Sweden, besides, China, Japan and Singapore, Canada and US are studying this research.
The conference consists of three parts, Workshop, Oral and poster session, Technical tour to WWTP.

Through the conference I got acquainted with great professors, business men who are interested in AGS and engineers in Nereda. This is a big result I got in this conference.

Next time, I would like to join it as a presenter and have deep discussion with other partisipants.

 

 

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